• 月経前症候群は食行動と関連

     日本の女子大学生および大学院生を対象とした横断研究の結果、摂食障害傾向の有無が月経前症候群(premenstrual syndrome;PMS)と関連していることが明らかとなり、BMIの値にかかわらず、食行動がPMS症状に影響を及ぼしている可能性が示唆された。大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の森野佐芳梨氏らによる研究であり、「BMC Women’s Health」に6月7日掲載された。

     PMSは、情緒不安定、イライラ、不安、倦怠感、食欲や睡眠の変化、下腹部痛、頭痛、むくみ、乳房の張りなど、さまざまな身体・精神症状を伴い、多くの女性の日常生活に支障をきたしている。PMSは、運動習慣、食事の内容や栄養摂取の状況などと関連することが報告されている。しかし、朝食の欠食、やせ願望、過食といった食行動に関する問題が深刻化している中で、食行動とPMS症状について検討した日本の研究は少ない。

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     著者らは今回、日本の大学に通う25歳以下の女子大学生・大学院生を対象に、インターネットを用いた質問紙調査を実施した(2022年11月から2023年9月)。食行動の評価には「EAT-26」という尺度を用い、摂食障害傾向の有無を評価した。PMSについては、計18の身体症状と精神症状について、その症状により日常生活に支障が出たかどうかを尋ねた。

     有効回答の得られた対象者130人のうち、EAT-26の評価により摂食障害傾向グループに分類された人は8人(6.15%)だった。摂食障害傾向グループとそうでないグループで、平均年齢(19.6±0.7対20.1±1.6歳)、身長(158.0±4.9対159.0±5.5cm)、体重(52.3±4.2対51.7±5.6kg)、BMI(21.0±2.0対20.5±1.9kg/m2)に関して、有意差はなかった。

     PMSで悩んでいる人の割合は、摂食障害傾向グループの方が、そうでないグループに比べて有意に高いことが明らかとなった(100%対59.8%)。同様に、PMSの身体症状(100%対55.7%)および精神症状(62.5%対27.1%)のどちらの割合も、摂食障害傾向グループの方が有意に高かった。

     さらに、身体症状の有無と、EAT-26の下位尺度の得点との関連を比較したところ、身体症状のあるグループは、身体症状のないグループと比べて、「摂食制限」(6.8±5.4対5.2±2.6)および「過食と食への関心」(1.6±2.7対0.6±1.2)の得点が有意に高かった。

     今回の研究結果について著者らは、BMIのような体組成の違いにかかわらず、女子大学生の摂食障害傾向がPMS症状に関連していたことから、従来から指摘されている栄養状態やBMIだけではなく「食行動がPMSに影響している可能性があり、PMSに対する保健指導に新たな視点が必要となる可能性がある」と述べている。また、若い世代ほど、ボディイメージやソーシャルメディアの意見に関心が高く、食行動も大きく影響を受けやすいことから、今後、より多くの集団で食行動について検討することで、PMSの改善や予防に貢献できる可能性があるとしている。

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    HealthDay News 2024年7月16日
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  • eGFRは心臓突然死のリスク予測因子

     推算糸球体濾過値(eGFR)は、心不全患者の心臓突然死の独立予測因子であり、リスク予測において左室駆出率(LVEF)にeGFRを追加することが有用であるという研究結果が発表された。藤田医科大学ばんたね病院循環器内科の祖父江嘉洋氏らが行った前向き研究の成果であり、「ESC Heart Failure」に6月10日掲載された。

     心不全患者の心臓突然死の予防において、LVEFおよびNYHA心機能分類に基づき植込み型除細動器(ICD)の適応が考慮される。ただ、軽度から中等度の慢性腎臓病(CKD)を有する患者に対するICDの有用性に関して、これまでの研究の結果は一貫していない。そこで著者らは今回、心臓突然死における腎機能の役割を検討するため、2008年1月から2015年12月に非代償性心不全で入院したNYHA分類II~III度の患者を対象として、心臓突然死の発生を追跡し、心臓突然死の予測因子を検討する前向き研究を行った。

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     入院中に死亡した患者や透析患者などを除外した結果、解析対象患者は1,676人だった。対象患者の平均年齢は74±13歳、男性の割合は56%で、平均LVEFは40±15%、ほとんどの患者(87%)は退院時のNYHA分類がII度だった。

     追跡期間中央値25カ月(四分位範囲4~70カ月)の間に、198人(11.8%)が心臓突然死により死亡した。退院から心臓突然死までの期間の中央値は17カ月であり、退院後3カ月以内の心臓突然死が23%を占めた。心臓突然死患者は生存患者と比較して、若年、男性、糖尿病、脂質異常症、虚血性心疾患の有病割合が高い、QRS時間が長い、LVEFが低い、抗血小板薬やアミオダロンの使用率が高いといった特徴が認められた。

     対象患者のうち、eGFR(mL/分/1.73m2)によるCKDステージ1(eGFR 90以上)の人は122人(7.3%)、ステージ2(eGFR 60~89)は337人(20.1%)、ステージ3(eGFR 30~59)は793人(47.3%)、ステージ4(eGFR 30未満)は424人(25.3%)だった。また、ステージ1の人のうち死因が心臓突然死だった人の割合は6%、ステージ2では33%、ステージ3は24%、ステージ4は23%だった。

     患者の臨床背景を調整して多変量Cox比例ハザード回帰分析を行った結果、心臓突然死の独立予測因子として、男性(ハザード比1.61、95%信頼区間1.03~2.53)、eGFR 30未満(同1.73、1.11~2.70)、LVEF 35%以下(同2.31、1.47~3.66)が抽出された。心臓突然死の予測モデルにおいて、LVEFにeGFRを追加することで心臓突然死の予測能は有意に向上した。このeGFRの予測能は、2年間で時間依存的に低下した。

     今回の研究の結論として著者らは、「NYHA分類II~III度の心不全患者において、心臓突然死の予測能はeGFR 30未満を加えることで改善した」としている。また、患者の4分の1が退院後3カ月以内に心臓突然死を発症していたことに言及し、退院後3カ月間は着用型自動除細動器(WCD)を用いた介入が有効である可能性があると述べている。

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    心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。

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    HealthDay News 2024年7月16日
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