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9月 14 2026 手術開始時刻で手術時間に差、午前は午後より長く
手術の開始時刻は、手術の成績に影響するのだろうか。今回、手術開始時刻が手術時間に影響する可能性を示す研究結果が報告された。主要な泌尿器科手術2,627例を後ろ向きに解析したところ、午前に開始した手術は午後に開始した手術より時間が長かった一方、周術期合併症や全生存期間には差が認められなかった。研究は、広島大学腎泌尿器科学の小畠浩平氏、日向信之氏らによるもので、詳細は8月8日付の「World Journal of Urology」に掲載された。
手術開始時刻が手術の効率や患者の転帰に影響する可能性が指摘されている。これまで、遅い時間帯の手術で合併症や死亡、入院期間などのリスクが高まるとの報告がある一方、手術時間や周術期成績に明らかな差はないとする研究もあり、結果は一貫していない。泌尿器科手術におけるエビデンスも限られている。このような背景から著者らは手術開始時刻と主要な泌尿器科手術の臨床転帰との関連を検討した。
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治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、広島大学病院で主要な泌尿器科手術を受けた2,627例を対象に後ろ向き解析を実施した。手術開始時刻により、8~12時の「午前群」と12時以降の「午後群」に分類。手術時間、出血量、周術期合併症、全生存期間(OS)などを比較した。傾向スコアマッチング(PSM)で年齢、性別、BMI、併存疾患、腫瘍関連因子、術式、手術アプローチ、術者経験などの患者背景を調整し、手術開始時刻と手術時間の関連を線形回帰分析でも検討した。
PSM前は、午前群で高齢者や併存疾患のある患者が多く、手術時間や出血量が多かった。悪性疾患ではOSも午前群で不良だった。PSM後は各群954例となり、患者背景をそろえると、出血量、周術期合併症、OSに差は認められなかった。
手術時間については午前群で長く(P=0.001)、手術室への入室時刻が1時間遅くなるごとに、手術時間は2.5分短縮した(P<0.001)。午前・午後早期(12~15時)・午後遅期(15時以降)の3群で比較しても、手術時間は有意に異なった(P=0.003)。一方、午後早期と午後遅期の間には有意差はなかった。
著者らは、主要な泌尿器科手術では、手術開始時刻が午後になるほど手術時間が短くなる一方、周術期合併症やOSには影響しなかったと結論づけた。手術時間の差は臨床的には小さく、手術開始時刻が臨床転帰に及ぼす影響は限定的と考察している。手術時間が午前群で長かった理由については、午前中は時間的な制約が少ないことや、1日の手術を重ねるにつれて術者・チームが“ウォーミングアップ”し、手術が効率化する可能性を指摘。また、午後遅くなるほど手術時間が延びる傾向はみられなかったことから、時間経過に伴う術者の疲労が手術時間を延ばした主な要因とは考えにくく、午前の手術環境や時間的な余裕、症例の割り当てなどが影響した可能性があるとみている。
なお、本研究の限界点として、後ろ向きの単施設研究で因果関係を判断できないこと、手術チームの構成や研修医の参加、症例の複雑さなどを十分に把握できていないことを挙げている。
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9月 14 2026 脊髄くも膜下麻酔後の悪心・嘔吐――機械学習で関連因子を解析
術後悪心・嘔吐(PONV)は、手術後にみられる頻度の高い合併症の一つで、患者満足度の低下や入院期間の延長にもつながる。今回、脊髄くも膜下麻酔で手術を受けた患者のPONVについて、5種類の機械学習アルゴリズムを用いた解析で、術後のフェンタニル使用が最も強く関連する因子として特定された。研究は、東北大学大学院歯学研究科歯科口腔麻酔学分野の星島宏氏らによるもので、詳細は8月5日付の「PLOS One」に掲載された。
脊髄くも膜下麻酔下で下肢や下腹部の手術、帝王切開を受けた患者におけるPONVの発生率は5~42%と報告されている。これまでの研究では、女性、麻酔の穿刺レベル、術中低血圧などがリスク因子として挙げられているが、全身麻酔後のPONVで知られているリスク因子とは異なることから、見解は一致していない。近年、医療分野ではAI技術が進展し、機械学習を用いた解析も広がっている。そこで著者らは今回、脊髄くも膜下麻酔下で手術を受けた患者を対象に、機械学習を用いてPONVのリスク因子を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究は後ろ向き観察研究で、東北大学病院で2010~2022年に脊髄くも膜下麻酔下の手術を受けた20歳以上の患者を対象とした。診療記録から、性別、年齢、BMI、手術・麻酔時間、麻酔方法、使用薬剤、術後フェンタニル使用など31項目を収集した。PONVの有無による背景因子の偏りを抑えるため傾向スコアマッチングを行った。PONVの発生確率を予測するアンサンブルモデルを構築し、ランダムフォレスト、勾配ブースティングマシン、k近傍法、多層パーセプトロン、決定木の5種類の機械学習アルゴリズムを組み合わせた。各因子の予測への寄与度はShapley値を用いて評価した。
解析対象となった4,574人のうち、269人(5.9%)がPONVを発症した。傾向スコアマッチング後、PONV群269例と非PONV群269例の計538例を解析した。
機械学習によるアンサンブルモデルのPONV識別能を示すAUCは0.81で、比較対象としたモデルを上回った。PONVへの寄与度は、術後のフェンタニル使用が最も高く、次いで手術時間、BMI、総尿量、麻酔時間の順だった。
PONVの関連因子として、患者関連では女性、BMI(25未満)が、麻酔・手術関連では手術時間(60分未満)、麻酔時間(100分未満)、帝王切開、術後フェンタニル使用、脊髄くも膜下腔へのフェンタニル/モルヒネ投与、硬膜外麻酔の穿刺レベル(Th7~12)が特定された。一方、年齢、出血量、輸血量、輸液量、脊髄くも膜下麻酔の穿刺レベル、鎮静薬や昇圧薬などの使用には明確な関連は認められなかった。
著者らは、今回のAI解析はPONVのリスク因子を特定するのに十分な精度を示し、将来的なPONVの発生予測に活用できる可能性があるとしている。一方、本研究では、傾向スコアマッチング後の症例数が少なく一部の因子を十分に解析できなかったこと、単施設研究で外部検証を行っていないこと、帝王切開の割合が高いこと、鎮静薬の影響を十分に考慮できなかったことなどを限界として挙げている。
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