外傷後敗血症はまれでも死亡リスク高く――日本の外傷患者12万人超で検討

 外傷後に生じる重篤な合併症の一つが敗血症であり、発症すると患者の予後に大きな影響を及ぼす。今回、日本の外傷患者12万人超を対象とした研究で、外傷後敗血症はまれである一方、発症した患者では院内死亡率が著しく高いことが明らかになった。研究は、順天堂大学救急・災害医学講座の宮里篤之氏(現在は沖縄県立南部医療センター・こども医療センター所属)、近藤豊氏らによるもので、詳細は8月18日付で「BMJ Open」に掲載された。

 敗血症と外傷はいずれも主要な死因の一つで、日本では近年、両者の死亡率が低下している。一方、外傷に敗血症を合併すると予後が不良となることが報告されており、海外の研究では、敗血症を発症した外傷患者で死亡率が高く、ICU滞在期間も長いことが示されている。また、外傷後敗血症の臨床的なリスク因子も報告されている。しかし、日本における外傷後敗血症の疫学やリスク因子については明らかになっていない。こうした背景から著者らは、日本外傷データバンク(JTDB)を用いて、日本における外傷後敗血症の疫学的特徴とリスク因子を後ろ向きに解析した。

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本研究では、JTDBに2004~2019年に登録された鈍的または穿通性外傷の患者のうち、Abbreviated Injury Scale(AIS)スコア3以上で、集中治療室(ICU)入室後72時間以上生存した成人患者を対象とした。解析に必要なデータに欠測がある患者は除外した。外傷後に敗血症を発症した患者の院内死亡率を主要評価項目とし、敗血症発症に関連するリスク因子を多変量ロジスティック回帰分析で検討した。

 対象となった12万6,433人のうち、外傷後に敗血症を発症した患者は972人(0.77%)だった。敗血症を発症した患者の院内死亡率は42.4%で、非発症患者の4.6%と比べて有意に高かった(P<0.001)。また、入院期間の中央値は敗血症発症患者で47日、非発症患者で20日と、敗血症を発症した患者で有意に長かった(P<0.001)。

 敗血症群では、胸部外傷(39.9%対29.5%)、腹部・骨盤外傷(25.8%対8.6%)、下肢外傷(37.3%対22.0%)が非敗血症群より多く、Injury Severity Score(ISS)が25を超える重症外傷の割合も43.3%対19.3%と高かった。また、搬入後24時間以内に輸血を受けた患者の割合も59.3%対21.5%と高かった(いずれもP<0.001)

 多変量ロジスティック回帰分析の結果、高齢(調整オッズ比〔aOR〕1.02、95%信頼区間〔CI〕1.02~1.03)、男性(同1.48、1.27~1.73)、重症度の高い外傷(同1.58、1.39~1.80)、搬入後24時間以内の輸血(同2.78、2.36~3.26)、腹部・骨盤外傷(同2.28、1.91~2.73)、下肢外傷(同1.66、1.42~1.94)は、外傷後敗血症の発症と独立して関連していた。一方、頭部外傷は敗血症発症リスクの低下と関連していた(同0.67、0.55~0.80)。ISSで層別化した解析でも、多くの因子で同様の傾向が認められた。

 また、非敗血症群ではISSが高くなるほど死亡率が上昇したのに対し、敗血症群ではISSにかかわらず死亡率が一貫して高かった。

 著者らは、外傷後敗血症はまれである一方、発症すると外傷の重症度にかかわらず死亡率が高くなることから、早期のリスク評価と介入が重要だと指摘している。また、男性、高いISS、搬入後24時間以内の輸血、腹部・骨盤外傷、下肢外傷が敗血症発症のリスク因子だったことから、これらの因子を持つ患者では外傷の重症度にかかわらず敗血症に注意する必要があるとしている。一方、頭部外傷が敗血症リスクの低下と関連した点については、さらなる検証が必要としている。

 なお、研究の限界として、敗血症の発症時期や感染源、治療介入の時期、併存疾患などの情報が不足していること、担当医の臨床判断に基づく敗血症判定による誤分類や過小診断の可能性などを挙げている

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HealthDay News 2026年9月28日
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