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9月 28 2026 脂質低下療法後の受診頻度、心血管イベントや死亡と有意に関連せず
脂質異常症の治療では、薬物療法と定期的な受診が行われる。では、受診頻度が高いほど、心血管イベントや死亡のリスクは低くなるのだろうか。今回、日本の国保データベースを用いた研究で、脂質低下療法を開始した患者では、月1回程度の受診と2~3カ月に1回程度の受診で、心血管イベントや死亡のリスクに統計学的に有意な差は認められなかった。研究は、藤枝市立総合病院・藤枝市家庭医療センターの松永拓氏、名古屋医療センター臨床研究センターの中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らによるもので、詳細は8月2日付の「Journal of Health, Population and Nutrition」に掲載された。
脂質異常症は心血管疾患や脳血管疾患の主要なリスク因子であり、生活習慣の改善や薬物療法による管理が重要となる。定期的な受診は服薬状況の確認や治療調整に役立つ一方、受診間隔が心血管イベントや死亡のリスクに及ぼす影響は明らかでない。日本では1人当たりの年間受診回数が経済協力開発機構(OECD)加盟国の中央値を上回っており、脂質異常症では月1回程度の受診が多い。2022年にはリフィル処方制度も導入されたが、受診間隔の延長が治療効果に及ぼす影響には不明な点が残る。そこで本研究では、脂質低下療法開始後の受診頻度と長期的な心血管・脳血管イベント、死亡との関連を検討した。
【脂質異常症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究グループは、静岡県市町国保データベースを用いて、2012年4月1日~2021年9月30日に脂質低下療法を開始した40歳以上の患者を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。治療開始前1年間の評価があり、開始前6カ月以内に健診を受けた患者を対象とし、心イベント・脳血管イベントの既往、がん、維持透析、インスリン自己注射を行っている患者は除外した。治療開始後2年間の受診回数により、22回以上の高頻度受診群(月1回程度に相当)と8~12回の低頻度受診群(2~3カ月に1回程度に相当)に分類。6カ月ごとの区間で2回未満の受診となった患者も除外した。傾向スコアマッチング(1:3)を行い、治療開始後2年以内にイベントが発生した患者を除外した上で、低頻度群1,435人、高頻度群4,412人を解析した。平均5.3年間追跡し、心イベント、脳血管イベント、死亡の発生を比較した。
平均5.3年間の追跡期間中、心イベント、脳血管イベント、死亡を合わせた複合アウトカムの発生率は、低頻度受診群、高頻度受診群ともに5.6%で、両群間に有意差は認められなかった(ハザード比〔HR〕1.08、95%信頼区間〔CI〕0.84~1.38、P=0.571)。さらに、治療開始後1年以内に健診で測定されたLDL-C(悪玉コレステロール)は、低頻度受診群113.64 mg/dL、高頻度受診群114.39 mg/dLで、両群間に有意差はなかった(P=0.478)。
個別のアウトカムでは、心イベントの発生率は低頻度受診群3.8%、高頻度受診群3.6%(HR 1.13、95%CI 0.83~1.54)、脳血管イベントはそれぞれ1.3%、1.2%(HR 1.13、95%CI 0.67~1.90)、死亡は1.7%、1.9%(HR 0.94、95%CI 0.60~1.48)で、いずれも有意差は認められなかった。
著者らは、病状が安定している一部の患者では、受診間隔を2~3カ月に延ばすことが合理的な選択肢になり得るかもしれない。受診間隔の延長は、リフィル処方制度の利用や医療資源の効率化につながる可能性がある。ただし、心血管リスクが高い患者や治療強化が必要な患者では、延長の可否を個別に判断する必要があると指摘している。
一方、本研究の限界として、服薬状況や受診頻度に影響する未測定の要因を把握できず、因果関係を検証できないことなどを挙げている。また、心血管イベントや脳血管イベントの既往がある患者には結果を一般化できないとしている。
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9月 28 2026 外傷後敗血症はまれでも死亡リスク高く――日本の外傷患者12万人超で検討
外傷後に生じる重篤な合併症の一つが敗血症であり、発症すると患者の予後に大きな影響を及ぼす。今回、日本の外傷患者12万人超を対象とした研究で、外傷後敗血症はまれである一方、発症した患者では院内死亡率が著しく高いことが明らかになった。研究は、順天堂大学救急・災害医学講座の宮里篤之氏(現在は沖縄県立南部医療センター・こども医療センター所属)、近藤豊氏らによるもので、詳細は8月18日付で「BMJ Open」に掲載された。
敗血症と外傷はいずれも主要な死因の一つで、日本では近年、両者の死亡率が低下している。一方、外傷に敗血症を合併すると予後が不良となることが報告されており、海外の研究では、敗血症を発症した外傷患者で死亡率が高く、ICU滞在期間も長いことが示されている。また、外傷後敗血症の臨床的なリスク因子も報告されている。しかし、日本における外傷後敗血症の疫学やリスク因子については明らかになっていない。こうした背景から著者らは、日本外傷データバンク(JTDB)を用いて、日本における外傷後敗血症の疫学的特徴とリスク因子を後ろ向きに解析した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究では、JTDBに2004~2019年に登録された鈍的または穿通性外傷の患者のうち、Abbreviated Injury Scale(AIS)スコア3以上で、集中治療室(ICU)入室後72時間以上生存した成人患者を対象とした。解析に必要なデータに欠測がある患者は除外した。外傷後に敗血症を発症した患者の院内死亡率を主要評価項目とし、敗血症発症に関連するリスク因子を多変量ロジスティック回帰分析で検討した。
対象となった12万6,433人のうち、外傷後に敗血症を発症した患者は972人(0.77%)だった。敗血症を発症した患者の院内死亡率は42.4%で、非発症患者の4.6%と比べて有意に高かった(P<0.001)。また、入院期間の中央値は敗血症発症患者で47日、非発症患者で20日と、敗血症を発症した患者で有意に長かった(P<0.001)。
敗血症群では、胸部外傷(39.9%対29.5%)、腹部・骨盤外傷(25.8%対8.6%)、下肢外傷(37.3%対22.0%)が非敗血症群より多く、Injury Severity Score(ISS)が25を超える重症外傷の割合も43.3%対19.3%と高かった。また、搬入後24時間以内に輸血を受けた患者の割合も59.3%対21.5%と高かった(いずれもP<0.001)
多変量ロジスティック回帰分析の結果、高齢(調整オッズ比〔aOR〕1.02、95%信頼区間〔CI〕1.02~1.03)、男性(同1.48、1.27~1.73)、重症度の高い外傷(同1.58、1.39~1.80)、搬入後24時間以内の輸血(同2.78、2.36~3.26)、腹部・骨盤外傷(同2.28、1.91~2.73)、下肢外傷(同1.66、1.42~1.94)は、外傷後敗血症の発症と独立して関連していた。一方、頭部外傷は敗血症発症リスクの低下と関連していた(同0.67、0.55~0.80)。ISSで層別化した解析でも、多くの因子で同様の傾向が認められた。
また、非敗血症群ではISSが高くなるほど死亡率が上昇したのに対し、敗血症群ではISSにかかわらず死亡率が一貫して高かった。
著者らは、外傷後敗血症はまれである一方、発症すると外傷の重症度にかかわらず死亡率が高くなることから、早期のリスク評価と介入が重要だと指摘している。また、男性、高いISS、搬入後24時間以内の輸血、腹部・骨盤外傷、下肢外傷が敗血症発症のリスク因子だったことから、これらの因子を持つ患者では外傷の重症度にかかわらず敗血症に注意する必要があるとしている。一方、頭部外傷が敗血症リスクの低下と関連した点については、さらなる検証が必要としている。
なお、研究の限界として、敗血症の発症時期や感染源、治療介入の時期、併存疾患などの情報が不足していること、担当医の臨床判断に基づく敗血症判定による誤分類や過小診断の可能性などを挙げている
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