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8月 31 2026 犬を飼う高齢者、要介護認知症リスク低下と関連――医療・介護費抑制の可能性も
ペットとの暮らしは、高齢者の健康維持に役立つのだろうか。今回、国内の高齢者1万1,224人を対象に約7.5年間追跡した研究で、犬を飼っている人では、飼っていない人と比べて要介護認知症の発症リスクが低いことが示された。さらに、犬を飼うことが高齢者の健康維持に加え、公的な医療・介護費の抑制につながる可能性も示唆された。研究は、国立環境研究所環境リスク・健康領域の谷口優氏、東京大学大学院薬学系研究科医療政策・公衆衛生学分野の齋藤良行氏らによるもので、詳細は7月22日付の「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載された。
ペットとの触れ合いは、身体活動量や精神的健康の向上など、さまざまな健康効果との関連が報告されている。中でも犬を飼うことは、高齢者のフレイルや要介護状態、要介護認知症の発症リスク、死亡リスクの低下と関連することが示されてきた。一方で、犬を飼うことが健康につながるのか、それとも健康な人ほど犬を飼いやすいのかは明らかでなく、因果関係ははっきりしていなかった。また、医療・介護費への影響も十分に検討されていなかった。そこで著者らは、日本の高齢者1万1,224人を約7.5年間追跡し、犬を飼っていることと要介護認知症や死亡との関連を調べ、さらに公的な医療・介護費への影響も評価した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究では、東京都大田区の65~84歳の地域在住高齢者を対象とした「大田区 元気シニア・プロジェクト」のデータを使用した。2016年に無作為抽出された1万5,500人に質問票を送り、回答が得られた1万1,925人のうち、追跡データが得られた1万1,224人を解析対象とした。犬の飼育状況は、現在飼っている、過去に飼っていた、飼ったことがない、の3群に分類した。約7.5年間追跡し、要介護認知症の発症と死亡を調べた。解析では、年齢や健康状態、経済状況、社会的交流など、犬を飼っている人と飼っていない人の違いを考慮した。さらに、犬を飼う場合と飼わない場合について、4年間の医療・介護費と健康上の効果を計算モデルで比較し、費用対効果を評価した。
約7.5年間の追跡期間中、1,989人(17.7%)が要介護認知症を発症し、1,808人(16.1%)が死亡した。年齢や健康状態、社会的・経済的背景などを考慮して解析したところ、現在犬を飼っている人では、犬を飼ったことがない人と比べて要介護認知症の発症オッズ(発症のしやすさを示す指標)が47%低かった(オッズ比〔OR〕0.53、95%信頼区間〔CI〕0.43~0.66)。死亡についても、オッズが37%低かった(OR 0.63、95%CI 0.51~0.79)。
さらに、因果関係の可能性を検討した解析でも、現在犬を飼っている人では要介護認知症の発症オッズが48%低かった(OR 0.52、95%CI 0.27~0.98)。
費用対効果の分析では、健康上の効果をQALY(質調整生存年:寿命だけでなく健康状態も考慮して、どれだけ質の高い生活を送れるかを表す指標)で評価した。その結果、犬を飼う高齢者では、飼わない高齢者と比べて、家計が負担する犬の飼育費を除いた公的な医療・介護費が1,000人当たり4年間で約1億2,272万円削減され、QALYは142.4増加すると推計された。
著者らは、犬との暮らしは高齢者の要介護認知症の発症リスク低下や医療・介護費の抑制につながる可能性があり、健康増進政策の一環として活用できる可能性があるとまとめている。一方、犬の飼育状況を評価したのは研究開始時のみで、その後の変化を把握できていないことや、観察研究であるため因果関係を完全には証明できないことなどを研究の限界として挙げている。
軽度認知障害(MCI)のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら
軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。
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8月 31 2026 地域活動への参加、オーラルフレイルリスク低下と関連――3万人超の縦断研究
日本の地域在住高齢者約3万人を3年間追跡した研究で、地域活動への参加がオーラルフレイルリスクの低下と関連することが示された。さらに、その関連は社会経済的地位(SES)が低い高齢者でより強く認められ、社会参加がオーラルフレイルの健康格差の縮小と関連する可能性が示唆された。研究は、北海道大学大学院保健科学研究院地域看護学/公衆衛生看護学教室の富岡那奈子研究員、田髙悦子教授らによるもので、詳細は7月24日付の「PLOS One」に掲載された。
オーラルフレイルは、かむ力や飲み込む力など口腔機能の軽度な衰えが積み重なった状態で、要介護リスクとの関連が指摘されている。口腔健康には社会経済的格差が存在することが指摘されており、国民皆保険制度の下でもその解消は課題となっている。所得や教育歴などで示されるSESは健康を左右する重要な要因であり、SESが低い高齢者では健康状態の悪化との関連が報告されている。近年、人とのつながりや地域活動への参加などを示す社会関係資本が健康に及ぼす影響が注目されているが、この社会関係資本とオーラルフレイルとの関連や、SESによる違いについては十分に明らかになっていなかった。そのような背景から、著者らは、日本の地域在住高齢者を対象に、個人レベルおよび地域レベルの社会関係資本とオーラルフレイルリスクとの関連を検討し、その関連がSESによって異なるかを解析した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究では、2019年と2022年に実施された日本老年学的評価研究(JAGES)の縦断データを用いた。対象は、両調査に参加した自治体に住む65歳以上の高齢者のうち、ベースライン時に要介護認定を受けていない3万1,378人とした。オーラルフレイルリスクは、年齢、残存歯数、咀嚼機能、嚥下機能などを用いた予測モデルにより評価した。SESは等価世帯所得をもとに評価し、年間所得200万円未満を低SES群、200万円以上を中~高SES群とした。社会関係資本は、市民活動への参加、社会的結束、互助関係の3領域について評価した。さらに、本人の社会的つながりを示す「個人レベル」と、居住地域全体のつながりを示す「地域レベル」の両面から解析した。解析では、これらの社会関係資本とオーラルフレイルリスクとの関連を、多変量ロジスティック回帰分析により検討した。さらに、SESによって関連の強さが異なるかを解析した。
3年間の追跡期間中、対象者の21.6%にオーラルフレイルリスクが認められた。SES別では、低SES群で24.6%、中~高SES群で19.9%となり、低SES群でリスク発生割合が高かった。
社会関係資本との関連を解析したところ、個人レベルの社会関係資本が高い人ほど、オーラルフレイルリスクは低かった。特に、市民活動への参加が多い人ではリスク低下との関連が認められ、この関連は低SES群でより強かった。また、個人レベルの社会的結束や社会関係資本全体のスコアについても、オーラルフレイルリスク低下との関連が認められた。
地域レベルの社会関係資本では、市民活動への参加が活発な地域ほどオーラルフレイルリスクが低かった。一方、社会的結束や互助関係などについては、地域レベルでの明確な関連は認められなかった。
著者らは、社会参加、特に市民活動への参加がオーラルフレイルリスクの低下と関連する可能性を指摘している。特に低SESの高齢者で関連が強かったことから、社会参加、特に市民活動への参加を促す取り組みが、口腔健康における社会経済的格差の解明や対策を考える上で重要な手がかりになるとしている。
なお、著者らは、本研究は観察研究であることから因果関係については結論できないこと、またオーラルフレイルは自己申告項目を用いた予測モデルで評価していることから臨床検査に基づくものではないことについて留意する必要があるとしている。
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治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
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8月 24 2026 乳幼児期の睡眠不足、3歳時の発達遅延と関連――日本の出生コホート研究
睡眠は、子どもの健やかな発達に欠かせない重要な要素である。今回、日本の全国出生コホート研究のデータを用いた解析から、乳幼児期の短い睡眠時間が3歳時の発達遅延と関連することが示された。また、睡眠場所が睡眠時間に関連する可能性も示された。研究は、鳥取大学医学部社会医学講座健康政策医学分野の増本年男氏らによるもので、詳細は7月8日付の「Frontiers in Public Health」に掲載された。
これまでの研究で、子どもの短い睡眠時間は、肥満や不安・抑うつなどの精神的健康問題、感情調整の困難さと関連することが報告されている。また、乳幼児期は神経回路の形成が活発な時期であり、この時期の睡眠がその後の発達に影響する可能性も指摘されている。一方で、乳幼児期の睡眠時間と、その後の子どもの発達との関連については、研究結果が一貫しておらず、十分には解明されていない。また、睡眠時間に影響を及ぼす睡眠環境の要因についても、明らかになっていない。そこで研究グループは、日本の大規模出生コホート研究のデータを用いて、乳幼児期の睡眠時間と3歳時の発達との関連、さらに睡眠時間に影響する睡眠環境について検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、日本の出生コホート研究「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査、The Japan Environment and Children’s Study:JECS)」のデータを用いて解析を行った。2011~2014年に全国19府県で登録された妊婦から生まれた子どものうち、出生情報などが得られた10万303人を主解析の対象とした。子どもの睡眠時間は、保護者への質問票により生後6カ月、1歳、1歳6カ月、3歳時点で評価した。年齢別の推奨睡眠時間(生後6カ月は12時間以上、1歳・1歳6カ月は11時間以上、3歳は10時間以上)を下回る場合を「短い睡眠時間」と定義した。また、子どもの発達は、生後6カ月、1歳、1歳6カ月、3歳時点で、保護者回答式の発達評価尺度であるAges and Stages Questionnaires, Third Edition(ASQ-3)を用いて評価した。主解析として、乳幼児期の睡眠時間と3歳時の発達遅延との関連について、個人差を考慮した統計解析を実施した。さらに、詳細調査の対象者を用いて、睡眠場所や騒音などの睡眠環境と睡眠時間との関連についても検討した。
解析の結果、生後6カ月、1歳、3歳時点で睡眠時間が年齢別推奨範囲を下回っていた子どもでは、3歳時の発達遅延との関連が認められた。短い睡眠時間は、推奨睡眠時間以上の子どもと比べて、3歳時の発達遅延と関連していた(生後6カ月:オッズ比〔OR〕1.11、1歳:OR1.10、3歳:OR1.15)。
また、ASQ-3の各領域について解析したところ、生後6カ月および3歳時の短い睡眠時間は、コミュニケーション、粗大運動(歩行などの全身運動)、微細運動(手先の細かな動作)、問題解決、個人・社会の全ての領域で発達遅延との関連が認められた。1歳時の短い睡眠時間は粗大運動および問題解決領域、1歳6カ月時の短い睡眠時間は粗大運動領域の発達遅延と関連していた。
さらに、詳細調査の対象者を用いて睡眠環境との関連を調べた結果、睡眠場所が短い睡眠時間と関連していた。一方で、寝室へのペットの侵入、騒音、騒音による睡眠障害、就寝時間、喘息などの要因は、短い睡眠時間との有意な関連を示さなかった。
今回の研究から、乳幼児期の短い睡眠時間は、3歳時の発達遅延と関連することが示された。また、睡眠場所などの睡眠環境が、子どもの睡眠時間に関連する可能性も示唆された。一方で、睡眠時間と発達との因果関係や、その背景にあるメカニズムについては明らかになっておらず、さらなる研究が必要だとしている。
なお、睡眠時間や発達の評価は保護者への質問票に基づいており、客観的な測定ではない点などが研究の限界として挙げられる。
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8月 24 2026 胃がん手術、低CXIは予後不良・再発リスクと関連
「がん悪液質」は、筋肉量の減少や低栄養、全身性炎症などを特徴とし、患者の予後に影響を及ぼすことが知られている。今回、これらを統合的に評価するCachexia Index(CXI)が、胃がん手術患者の予後や再発リスクを予測する指標として有用である可能性が示された。研究は、東京大学医学部附属病院胃食道外科の小島晴樹氏、菅原弘太郎氏らによるもので、詳細は7月13日付の「Surgery Today」に掲載された。
胃がんの予後は病期が最も重要な決定因子とされる一方、患者の全身状態も術後の生存に影響することが知られている。そのため、近年では、がん悪液質を総合的に評価する指標であるCXIが注目されている。肺がんや胆管がん、肝細胞がんでは、CXI低値が予後不良と関連することが報告されている。一方、胃がんではCXIの有用性を示唆する報告はあるものの、病期別の予後や再発パターンとの関連については十分に検討されていなかった。そこで著者らは、胃がん手術患者を対象に、CXIと術後の全生存期間、無病生存期間、再発パターンとの関連を検討した。
【胃がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、東京大学医学部附属病院で胃がんの根治切除を受けた1,166人を対象に後ろ向き解析を実施した。術前CT画像から評価した骨格筋量や血清アルブミン値、好中球リンパ球比を基にCXIを算出し、男女別の下位4分の1を低CXI群、それ以外を高CXI群に分類した。約7年間の追跡データを用いて、全生存期間、無病生存期間、再発パターンとの関連を検討した。
生存者の追跡期間中央値は83.9カ月だった。低CXI群は高CXI群と比べて年齢中央値が高く(70歳 vs. 65歳)、併存疾患を有する患者や進行病期の患者の割合も高かった。また、術後合併症の発生率も低CXI群で高かった(25.7% vs. 20.5%、P=0.04)。
5年生存率は、低CXI群で63.4%と、高CXI群の78.5%を有意に下回った(P<0.001)。この傾向は病期I~IIIのいずれでも認められ、低CXI群では一貫して予後が不良だった。また、5年無病生存率も低CXI群で61.0%と、高CXI群の76.7%より有意に低かった(P<0.001)。
さらに、再発リスクが低い病期Iを除いた病期II/IIIの患者では、低CXI群で再発率が高かった(35.4% vs. 24.9%、P=0.023)。特に、血行性再発(血流を介した遠隔転移)は低CXI群で13.6%と、高CXI群の6.9%より有意に多かった(P=0.026)。一方、局所再発、リンパ節再発、腹膜再発の発生率には有意差は認められなかった。
多変量解析では、低CXIは全生存期間の独立した予後不良因子であり(ハザード比〔HR〕1.58、95%信頼区間〔CI〕1.20~2.07、P<0.001)、無病生存期間についても独立した予後不良因子であることが示された(HR 1.60、95%CI 1.24~2.07、P<0.001)。
著者らは、CXIは胃がん手術患者の予後を予測する簡便な指標となる可能性があると指摘。CXIは筋肉量や栄養状態、炎症状態を反映することで、患者の身体的脆弱性と腫瘍の悪性度の双方を捉えている可能性があるとした。また、術前にCXIを評価することで、術後合併症や再発リスクが高い患者を特定し、栄養療法やリハビリテーションなどの介入につなげられる可能性があるとしている。
なお、本研究の限界として、単施設の後ろ向き研究であることに加え、CXIの最適なカットオフ値がまだ確立されていない点を挙げている。著者らは、今後は他施設での検証に加え、低CXI患者に対する栄養介入やリハビリテーションなどの有用性を検討する研究が必要だとしている。
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8月 17 2026 アルコール依存症患者の飲酒関連がん、遺伝的体質でリスクに差
飲酒は頭頸部がんや食道がんなどの飲酒関連がんの重要なリスク因子として知られている。今回、日本人のアルコール依存症患者を対象とした研究で、アルコール代謝に関わる遺伝的体質によって、こうしたがんのリスクが異なることが明らかになった。研究は、国立病院機構久里浜医療センターアルコール内科の横山顕氏、国立保健医療科学院生涯健康研究部の横山徹爾氏によるもので、詳細は7月7日付の「Cancer Medicine」に掲載された。
飲酒は頭頸部がんや食道がん、肝がん、大腸がん、胃がんなどのリスク因子として知られている。また、東アジア人ではアルコール代謝に関わるADH1BとALDH2の遺伝子多型が、飲酒習慣や飲酒関連がんのリスクに影響することが報告されている。著者らはこれまで、アルコール依存症患者では依存症治療前に飲酒関連がんの治療を受けている例が少なくないことを報告している。しかし、がん治療とアルコール依存症の進行との時間的な関係や、ADH1B・ALDH2遺伝子多型との関連は十分明らかになっていなかった。そこで今回、日本人男性のアルコール依存症患者を対象に、飲酒関連がんの治療時期や遺伝子多型との関連などを調べた。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、2005~2020年に久里浜医療センターで初めてアルコール依存症の治療を受けた日本人男性5,214人(20~79歳、平均53.3歳)を対象に、初診時の問診や診療録を用いた後ろ向き調査を実施した。飲酒関連がんの治療歴や飲酒歴を調査するとともに、全例でADH1B(アルコールの分解速度に関与)およびALDH2(アルコール代謝の過程で生じるアセトアルデヒドの分解に関与)の遺伝子型を解析し、代謝能力が異なる遺伝子型ごとに飲酒関連がんとの関連を評価した。また、飲酒を制御できなくなった時期や離脱症状の出現時期などを基に、アルコール依存症の進行時期を定義し、がん治療時期との関係を検討した。
解析対象となった5,214人のうち、飲酒関連がんの既往があった患者は385人(7.38%)だった。内訳は胃がんが最も多く、次いで大腸がん、食道がん、頭頸部がん、肝がんだった。また、飲酒関連がんの多くは、アルコール依存症が進行した時期以降に治療されていた。
遺伝子型との関連を解析したところ、ADH1B代謝低速型の患者では頭頸部がん、食道がんのリスクが高かった一方、胃がんとの関連は逆に低かった。ALDH2低活性型の患者では、頭頸部がんや食道がんに加え、胃がん、大腸がんのリスクも高くなっていた。
特に、ADH1B代謝低速型とALDH2低活性型を併せ持つ患者では、頭頸部がんと食道がんのリスクがそれぞれ17.05倍、35.03倍と大幅に上昇していた。また、ADH1BとALDH2の組み合わせは、複数の臓器にわたる飲酒関連がんの発症とも関連していた。
著者らは、「アルコール依存症患者では飲酒関連がんの治療歴を有する例が少なくなく、多くは依存症の進行後にがん治療を受けていた」とした上で、「ADH1BやALDH2の遺伝子型に応じたリスク評価と問題飲酒のスクリーニングを組み合わせることで、飲酒関連がんとアルコール依存症の双方に対する早期介入につながる可能性がある」と結論付けている。
また、胃がん患者の約9割は胃切除術を受けており、胃切除後はアルコールが胃にとどまらず小腸へ速やかに移行して吸収されやすくなるため、アルコール関連の問題が生じる可能性があり、経過観察が重要だと指摘している。
著者らは、対象がアルコール依存症治療を受けた患者に限られることや、後ろ向き横断研究であるため因果関係は証明できないことなどを限界として挙げている。
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8月 17 2026 若年性アルツハイマー病、診断まで高齢発症より約9か月長く
65歳未満で発症する若年性アルツハイマー病では、高齢発症例より診断までに時間を要することが指摘されている。今回、日本人患者を対象とした研究で、症状出現から診断までの期間が高齢発症例より平均約9か月長いことが明らかになった。その主な要因は、症状が現れてから初めて医療機関を受診するまでの期間が長いことだったという。研究は、国立長寿医療研究センター診断イノベーション研究部の春日健作氏(研究当時は新潟大学脳研究所所属)らによるもので、詳細は7月9日付の「BMC Neurology」に掲載された。
65歳未満で発症する若年性アルツハイマー病(EOAD)は、働き盛りの世代に多く、就労や収入への影響が大きい。近年はアルツハイマー病の早期段階を対象とした抗アミロイドβ抗体薬が承認され、早期診断の重要性が高まっている。一方、EOADは失語や失行など物忘れ以外の症状で発症することもあり、診断が遅れたり他疾患と診断されたりする可能性がある。しかし、日本を含むアジアではアルツハイマー病の診断までの経過を検討した研究はほとんどなかった。このような背景から著者らは、日本人患者を対象に、EOADの診断までの経過を高齢発症アルツハイマー病(LOAD)と比較するとともに、診断までの期間に影響する要因を検討した。
【アルツハイマー病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、日本国内4施設で2011年4月~2023年3月にアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー型認知症(probable AD)と診断された18~79歳の患者を対象に、多施設共同の後ろ向き観察研究を実施した。対象は認知症専門医が診断した患者で、症状出現時の年齢に基づき65歳未満で発症した若年性アルツハイマー病(EOAD)群と65歳以上で発症した高齢発症アルツハイマー病(LOAD)群に分類し、症状出現から診断までの期間を比較した。また、診断までの期間に影響する要因についても検討した。
解析対象は、EOAD群79人とLOAD群59人だった。EOAD群の平均発症年齢は55.8歳、LOAD群は72.0歳で、患者背景はかかりつけ医の有無や就労状況などを除き、おおむね同等だった。初発症状はいずれの群でも認知機能障害が最も多かったが、EOAD群では失語や視空間認知障害、遂行機能障害、不安・抑うつ、失行などの症状がLOAD群より多く認められた。
症状出現からアルツハイマー病と診断されるまでの期間は、EOAD群で平均138.3週、LOAD群で99.6週と、EOAD群で有意に長かった(P=0.011)。また、症状出現から初めて医療機関を受診するまでの期間も、EOAD群で平均89.0週、LOAD群で57.6週とEOAD群で有意に長かった(P=0.024)。一方、初回受診から認知症専門医の初診まで、および認知症専門医の初診から診断までの期間には両群で有意差は認められなかった。
著者らは、EOADでは診断の遅れが就労機会の損失や経済的負担につながるだけでなく、近年実用化が進む抗アミロイドβ抗体薬による治療を適切な時期に受ける機会を逃す可能性があると指摘。そのため、疾患に対する社会的認知の向上や早期受診の促進、診療体制の整備が重要だとしている。また、EOADでは認知機能障害に加えて非典型的な症状を呈することや若年で発症することが、診断の遅れに影響した可能性があると考察している。
著者らは、電子カルテを用いた後ろ向き研究で症例数も限られていたことから、結果の解釈には一定の留意が必要だとしている。なお、本研究はエーザイ株式会社と新潟大学との共同契約に基づく支援を受けて実施された。
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8月 14 2026 マラソン中の心停止、スタート時の気温が低いほどリスク上昇か
マラソン中の心停止はまれではあるものの、生命を脅かす重大なアクシデントだ。今回、日本全国のフルマラソン約453万人の参加データを解析した研究で、スタート時の気温が低いほど心停止リスクが高い可能性が示された。一方、大気汚染物質との有意な関連は認められなかった。研究は、霞ヶ浦医療センター循環器内科の加藤穣氏らによるもので、詳細は6月30日付の「JACC:Advances」に掲載された。
マラソン中の心停止は、冠動脈疾患などランナー側の心血管疾患が主な原因と考えられている。一方、これまでの研究はランナー個人の特徴や基礎疾患に焦点を当てたものが中心で、レース当日の気象条件や大気汚染などの環境要因が心停止リスクに与える影響については十分に明らかになっていなかった。こうした背景から著者らは、フルマラソン大会の参加データとレース当日の気象・大気汚染データを用いて、これらの環境要因と心停止リスクとの関連を検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、2011年4月~2020年3月に開催された日本陸上競技連盟(JAAF)公認のフルマラソン大会を対象に、延べ452万8,134人の参加データを解析した。心停止は、レース開始からゴール後1時間以内に発生し、胸骨圧迫や自動体外式除細動器(AED)による処置を要した症例と定義した。各大会について、スタート時の気温や湿度、風速などの気象データに加え、PM2.5などの大気汚染データを用いて、参加者構成や大会の特徴を考慮しながら心停止リスクとの関連を評価した。心停止症例は全国レジストリに加え、新聞やインターネット報道も確認し、大会事務局への照会を通じて未報告症例の把握にも努めた。
対象となった571大会では、スタート時の平均気温は11.5℃で、多くの大会は秋から冬にかけて開催されていた。心停止は62大会で75例確認され、発生率は10万人当たり1.66例だった。心停止発生者の中央値年齢は52歳で、93.3%が男性だった。
解析の結果、スタート時の気温が1℃上昇するごとに心停止リスクは約6%低下し、スタート時の気温が低いほど心停止リスクが高まる傾向が示された(発生率比〔IRR〕0.94、95%信頼区間0.90~0.99)。一方、PM2.5などの大気汚染物質と心停止リスクとの間に有意な関連は認められなかった。
また、湿球黒球温度(WBGT)を用いた解析や、対象条件を変えた追加解析でも同様の傾向が確認され、低気温と心停止リスクとの関連はおおむね一貫していた。
著者らは、寒冷環境では末梢血管の収縮や血圧・心拍数の上昇などが起こり、心臓への負担が増加する可能性を指摘している。こうした変化が重なることで、心筋虚血や不整脈を起こしやすい状態につながる可能性があるという。また、開催時期やスタート時刻の変更は現実的ではないものの、寒冷時のリスクを認識することが、大会主催者や医療スタッフによる救護体制の強化や緊急時の対応準備につながる可能性があると述べている。
なお、本研究では発症者の基礎疾患や心停止の原因は把握できておらず、高温環境で開催された大会も少なかったことから、著者らはさらなる検討が必要だとしている。
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8月 14 2026 ペムブロリズマブ投与後の好酸球割合、irAE発現リスク評価の手掛かりに
免疫チェックポイント阻害薬はがん治療に大きく貢献している一方、免疫関連有害事象(irAE)への対応が課題となっている。今回、転移性尿路上皮がん患者を対象とした研究で、ペムブロリズマブ投与3週間後の好酸球割合が、irAE発現リスクを評価する手掛かりとなる可能性が示された。研究は名古屋市立大学大学院医学研究科臨床薬剤学分野の小田切州広氏、同大学医学部附属西部医療センター泌尿器科の内木拓氏らによるもので、詳細は7月1日付の「Cancer Medicine」に掲載された。
転移性尿路上皮がん(mUC)は予後不良で、これまで主にプラチナ製剤を用いた化学療法が行われてきた。近年はペムブロリズマブが治療選択肢となり、治療成績が改善しているが、irAEは発症時期や発症する臓器の予測が難しく、早期にリスクを把握できるバイオマーカーの確立が求められている。著者らはこれまで他のがん種で好酸球とirAEとの関連を報告してきたが、ペムブロリズマブで治療を受ける転移性尿路上皮がん患者での有用性は明らかになっていなかった。そこで本研究では、ペムブロリズマブで治療を受けたmUC患者を対象に、治療前および治療3週間後の好酸球割合がirAE発現の予測マーカーとなり得るかを検討した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究グループは、2018年1月~2024年10月に東海地方の6施設でペムブロリズマブ単剤療法を1コース以上受けたmUC患者124人を対象に、多施設共同の後ろ向きコホート研究を実施した。患者はirAEの発症の有無で2群に分け、治療開始前と初回投与3週間後に採取した血液中の好酸球割合および好酸球数を比較した。irAEはCTCAE v5.0に基づいて評価した。さらに、原発部位別の解析も行い、膀胱がん患者と上部尿路上皮がん患者で結果を検証した。
研究期間中、124人の患者から47件のirAEが確認された。47件のirAEのうち、初回ペムブロリズマブ投与から21日以内に発症したものは9件(19.1%)で、38件(80.9%)は治療開始21日以降に発症した。
解析の結果、治療開始前から3週間後にかけての好酸球割合の変化は、irAE発症群で有意に大きかった(非発症群:2.4%から3.1%、発症群:2.2%から4.3%)。一方、好酸球数の変化については、両群で有意な差は認められなかった。
この関連が原発部位によって異なるかを調べるため、膀胱がんと上部尿路上皮がんに分けて解析した。膀胱がん患者では、irAE発症群で好酸球割合の上昇が有意に大きかった(非発症群:2.5%から2.8%、発症群:1.9%から4.1%)。一方、上部尿路上皮がん患者では、好酸球割合の変化とirAE発現との間に有意な関連は認められなかった。
この結果を踏まえ、膀胱がん患者において治療3週間後の好酸球割合とirAE発現リスクとの関連を詳しく解析したところ、好酸球割合5.0%がリスク評価のカットオフ値となった。多変量解析では、好酸球割合5.0%以上の患者は、5.0%未満の患者と比べてirAEを発症するリスクが高かった(オッズ比3.61、95%信頼区間1.00~13.0)。
著者らは、ペムブロリズマブ治療後の好酸球割合の変化を把握することで、irAE発現リスクを早期に把握するための手掛かりになる可能性があると考察している。また、3週間間隔の投与スケジュールに合わせて好酸球割合を確認することは、実臨床でも取り入れやすい評価方法になる可能性があるという。なお、好酸球の増加は免疫チェックポイント阻害薬の治療効果や予後改善とも関連することが報告されており、上昇のみを理由に治療中止を判断すべきではないと指摘している。
一方で、本研究は後ろ向き研究であり、好酸球割合を単独の指標として臨床応用するには、今後さらなる検証が必要だとしている。
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治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
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8月 04 2026 よくかめる小学生ほど体力が高い傾向、男子でより顕著
子どもの口腔機能は、食べることだけでなく全身の発育や健康との関わりも注目されている。今回、日本の小学生約1,200人を対象とした研究で、よくかめる小学生ほど体力が高い傾向があり、その関連は男子でより顕著であることが明らかになった。研究は大阪大学大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の平松里彩氏、髙阪貴之氏らによるもので、詳細は7月6日付で「Journal of Dentistry」に掲載された。
子どもの体力は、現在の健康状態だけでなく将来の健康にも影響するとされ、体力に関わる要因を明らかにすることは公衆衛生上の重要な課題となっている。一方、咀嚼機能は食物をかみ砕いて栄養を摂取する上で重要な役割を果たすだけでなく、成人や高齢者では身体機能やフレイル、生活の質(QOL)との関連も報告されている。しかし、子どもの咀嚼能力と体力との関連については十分な検討が行われておらず、特に総合的な体力との関連や男女差を調べた研究は限られていた。こうした背景から、著者らは日本の小学生を対象に、総合体力スコアを用いて咀嚼能力と体力との関連を検討し、さらに男女差についても解析した。
【治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします研究では、大阪MELON研究(Mastication research in Elementary school student teaching applying LONgitudinal Study)の一環として、大阪市内29校の市立小学校に通う小学4年生1,225人(男子608人、女子617人)を対象とした。2023年4月~2024年3月に身体測定や歯科検診を実施し、咀嚼能力と体力との関連を調べた。咀嚼能力は、色が変化するガムを1秒に1回のペースで1分間かんでもらい、60回咀嚼後の色の変化を専用アプリで解析して評価した。体力については、握力、上体起こし、反復横跳び、20mシャトルラン、50m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの7項目を測定し、これらを基に総合体力スコアを算出した。さらに、身長や体重の影響を考慮した統計解析を行い、咀嚼能力と総合体力スコアとの関連を検討した。
解析の結果、咀嚼能力は、反復横跳び、20mシャトルラン、50m走、ソフトボール投げ、および総合体力スコアと有意に関連していた。男女別では、男子で上体起こし、20mシャトルラン、ソフトボール投げ、総合体力スコアとの関連が認められ、女子では20mシャトルランとの関連が認められた。
さらに、身長や体重などを考慮した解析では、全体および男子で咀嚼能力と総合体力スコアとの有意な関連が認められたが、女子では有意な関連はみられなかった。ただし、性別によって関連の強さが異なることを示す統計的な差は認められなかった。著者らは、女子で明確な原因が認められなかった背景として、発達段階や生活習慣など今回評価していない要因が影響した可能性を挙げている。
著者らは、咀嚼能力は口腔機能の指標にとどまらず、学童期の身体的な発達や機能状態とも関連する可能性があると指摘している。今回の研究は横断研究であるため因果関係は明らかにできないものの、子どもの健全な成長を支える観点から、適切な咀嚼習慣や口腔機能の発達を促すことの重要性が示唆されたとしている。
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8月 04 2026 チルゼパチド、2型糖尿病治療の負担軽減に寄与か――実臨床研究で示唆
2型糖尿病では、複数の糖尿病治療薬の併用や複雑なインスリン療法が必要となり、患者の治療負担が増すことがある。こうした中、2型糖尿病患者を対象としたリアルワールド研究で、チルゼパチドは従来のGLP-1受容体作動薬と比べ、血糖コントロールや体重を改善しながら、糖尿病治療の負担軽減につながる可能性が示された。研究は、浅ノ川総合病院内科/金沢大学大学院未来型健康増進医学分野の澤村俊孝氏らによるもので、詳細は6月30日付の「Endocrine Practice」に掲載された。
複数の薬を服用する「ポリファーマシー(多剤併用)」や複雑なインスリン療法は、2型糖尿病患者の治療負担を増大させるだけでなく、低血糖や転倒、入院などのリスクとも関連する。このため、十分な血糖コントロールを維持しつつ、治療を簡略化することが重要な課題となっている。チルゼパチドはGIPとGLP-1という2つの消化管ホルモンの受容体に作用する2型糖尿病治療薬で、優れた血糖降下作用や体重減少作用を示すことが報告されているが、これまでの研究はHbA1cや体重への効果に焦点を当てたものが中心で、治療薬やインスリンの減量といった「治療簡略化」を評価した報告は限られていた。こうした背景から著者らは、2型糖尿病患者を対象に、チルゼパチドとGLP-1受容体作動薬の治療簡略化効果をリアルワールドデータで比較検討した。
【糖尿病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、日本の2施設で2023年4月~2025年3月にチルゼパチドまたはGLP-1受容体作動薬を開始した2型糖尿病患者318人(チルゼパチド群153人、GLP-1受容体作動薬群165人)を対象に、後ろ向きのリアルワールド研究を実施した。患者を最大12カ月追跡し、糖尿病治療薬が1剤以上減少した場合、インスリン注射回数が減少した場合、または1日当たりの総インスリン投与量が50%以上減少した場合のいずれかを満たし、その状態が維持されていることを「治療簡略化」と定義して評価した。解析では患者背景の違いを考慮し、傾向スコアを用いた統計学的手法で調整した。
解析の結果、チルゼパチド群では55%が治療簡略化を達成したのに対し、GLP-1受容体作動薬群では25%で、チルゼパチド群の方が有意に高かった(オッズ比〔OR〕 3.69、95%信頼区間〔CI〕 2.21~6.16、P<0.001)。絶対リスク差は30%だった。
治療簡略化は主に糖尿病治療薬数の減少によるもので、その割合はチルゼパチド群で47%、GLP-1受容体作動薬群では10%だった(OR 7.96、95%CI 4.06~15.6、P<0.001)。インスリン注射回数や総インスリン投与量もチルゼパチド群で減少する傾向がみられたが、全体では有意差はなかった。
また、HbA1cと体重はいずれの群でも改善したが、その改善幅はチルゼパチド群でより大きかった。12カ月後のHbA1cはチルゼパチド群で1.34%、GLP-1受容体作動薬群で0.78%低下し、体重はそれぞれ4.75kg、2.86kg減少した。
本研究ではチルゼパチド使用患者の56%がGLP-1受容体作動薬からチルゼパチドへ切り替えられた患者であったが、GLP-1受容体作動薬からの切り替え患者を除外したサブグループ解析では、薬剤数に加えインスリン注射回数や総インスリン投与量についてのアウトカムも有意に減少した。
著者らは、「チルゼパチドは、実臨床において血糖コントロールや体重減少効果を維持しながら、2型糖尿病治療の簡略化に寄与する可能性が示された」と結論付けている。また、治療レジメンの簡略化は服薬アドヒアランスや患者負担の軽減につながる可能性があり、チルゼパチドは日常診療における治療負担を軽減する新たな選択肢となり得るとしている。
一方で著者らは、本研究が後ろ向き観察研究であることや、患者のQOLや治療満足度を評価していないことなどを限界として挙げ、前向き研究による検証が必要としている。
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糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。
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