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6月 08 2026 救急搬送後の自殺再企図、若年と過量服薬がリスク因子に
自殺企図で救急搬送された患者の自殺再企図は、初期対応時に予測できるのだろうか。今回、国内3施設で救急入院患者を追跡した研究により、若年であることと過量服薬(オーバードーズ)が、自殺再企図のリスク因子となる可能性が示された。初回自殺企図時に過量服薬を行った患者では、再企図リスクが約2.5倍高かったという。研究は獨協医科大学精神神経医学講座の佐々木太郎氏、古郡規雄氏らによるもので、詳細は4月29日付の「Neuropsychopharmacology Reports」に掲載された。
自殺企図歴は、その後の自殺再企図や自殺死亡の強い予測因子とされる。これまで若年者では再企図が多く、性別による自殺行動の違いも報告されてきたが、その背景には自殺手段の違いが関与する可能性が指摘されている。一方、日本では救急搬送後の自殺再企図に関するリアルワールドの多施設縦断データは限られており、特に過量服薬がその後の再企図リスクに及ぼす影響は十分に検討されていなかった。こうした背景から著者らは、自殺企図で救急入院した患者において、年齢および初回自殺企図時の過量服薬と自殺再企図との関連を検討するため、多施設後ろ向きコホート研究を実施した。
【うつ病の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします本研究の対象は、2020年3月~2025年3月に日本国内3施設の救急外来へ自傷または過量服薬後に搬送され、自殺企図と臨床的に判断された1,038人とした。研究は、獨協医科大学病院、自治医科大学附属病院、八戸市立市民病院で行われた。事故による過量服薬や非自殺性自傷は除外した。対象患者を追跡し、初回救急入院後に医療介入を要した自殺再企図までの時間を評価した。Kaplan–Meier法およびCox比例ハザードモデルを用いて、年齢、性別、初回自殺企図時の過量服薬と自殺再企図リスクとの関連を解析した。さらに、過量服薬単独例に限定した感度解析も行った。
追跡期間中に、医療介入を要した自殺再企図は58件確認された。Kaplan–Meier解析では、女性および39歳以下の患者で自殺再企図の累積リスクが高かった。Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では、40歳以上は自殺再企図リスク低下が認められた一方(HR 0.52、95%信頼区間〔CI〕 0.29~0.94、P=0.030)、初回自殺企図時の過量服薬は自殺再企図リスク上昇と有意に関連していた(HR 2.54、95%CI 1.32~4.90、P=0.005)。一方、性別は多変量解析では独立した関連を示さなかった。これらの結果は、過量服薬単独例に限定した感度解析でも同様だった。
著者らは、救急入院時に把握可能な年齢や初回自殺手段が、自殺再企図リスクの層別化に有用となる可能性を示したとしている。特に、過量服薬で自殺企図した若年患者では、退院後の重点的なモニタリングや支援が重要になる可能性があると述べている。また、過量服薬単独例でも再企図リスクとの関連が維持された背景として、過量服薬を含む複合的な自殺手段では致死性が高く、その後の再企図として観察されにくくなる生存バイアスの影響がある可能性を指摘している。
本研究の限界として、精神疾患の重症度や自殺企図歴、退院後の精神科治療などの影響を十分に調整できていない可能性を挙げている。また、再企図は参加施設のカルテに基づいて把握しているため、他院受診例などを十分に捉えられていない可能性もある。
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6月 08 2026 乳がん・子宮頸がん検診、働く女性の受診行動と性格特性に関連か
乳がんや子宮頸がんの早期発見には定期的な検診が重要だが、働く女性の受診率向上は課題となっている。今回、日本の就業女性を対象とした研究で、一般に健康管理と結びつきやすいとされる誠実性や不安と関連する神経症傾向が高い女性ほど、乳がんおよび子宮頸がん検診の受診率が低い傾向にあることが示された。研究は横浜市立大学医学部看護学科の佐藤みほ氏と、福島県立医科大学看護学部の佐藤菜保子氏によるもので、詳細は4月28日付の「JMIR Cancer」に掲載された。
日本では乳がん・子宮頸がんの罹患率および死亡率が高い一方、検診受診率は他のOECD加盟国と比べて低い。女性の就業率上昇に伴い働く女性の受診率向上が課題となる中、時間的制約に加え、心理社会的要因も健康行動に影響する可能性が指摘されている。こうした背景から著者らは、就業女性における乳がん・子宮頸がん検診受診と性格特性やリスク認知との関連を検討した。
【子宮がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターが実施する日本家計パネル調査(JHPS)および慶應義塾家計パネル調査(KHPS)のデータを用いた二次解析を行った。対象は70歳以下の就業女性1,142人で、2019~2022年の縦断データを解析した。乳がん検診(マンモグラフィ)および子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)の受診有無を評価し、性格特性は日本語版Ten-Item Personality Inventory(TIPI-J)で測定した。また、リスク回避傾向、主観的健康状態、精神的健康、婚姻状況、子どもの有無、介護役割の有無、学歴、雇用状態(正規・非正規)、居住地域などもあわせて解析した。少なくとも2回の回答が得られた参加者を対象に、一般化線形混合モデルを用いて乳がん・子宮頸がん検診受診と各因子との関連を検討した。
解析の結果、乳がん検診および子宮頸がん検診のいずれにおいても、誠実性と神経症傾向が高い女性ほど受診率が低かった。乳がん検診では、誠実性(オッズ比〔OR〕 0.86、95%信頼区間〔CI〕 0.77~0.97、P=0.01)、神経症傾向(OR 0.87、95%CI 0.77~0.98、P=0.02)が関連し、子宮頸がん検診でも同様の傾向がみられた(誠実性:OR 0.88、95%CI 0.79~0.98、P=0.02、神経症傾向:OR 0.88、95%CI 0.78~0.99、P=0.04)。
著者らは、一般に自己管理能力の高さと結びつく誠実性が高い女性ほど乳がん・子宮頸がん検診の受診率が低かった点について、仕事に加えて家庭でも多くの役割を担う日本人女性では、がんの予防行動よりも仕事や家族を優先する可能性があると考察した。また、神経症傾向が高い女性では、がんと診断される可能性に対する不安が強く、検診受診をためらう可能性が示唆された。
本研究の限界として、自己記入式質問票による想起バイアスや社会的望ましさバイアスの可能性、欠測データ除外による選択バイアス、がん特異的ではなく一般的なリスク回避傾向を評価した点、医療への信頼や受診アクセス障壁に関する情報が含まれていない点などを挙げた。今後は、がん検診受診に影響する構造的要因および心理社会的要因について、さらなる検討が必要だとしている。
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6月 01 2026 国産手術ロボットhinotoriによる大腸がん手術、94例の初期成績を報告
ロボット支援手術の普及が進む中、日本初の国産手術支援ロボット「hinotori」の大腸外科領域における臨床データが報告された。今回、京都大学医学部附属病院でhinotoriによるロボット支援大腸手術を受けた大腸がん患者94例を解析した結果、開腹移行例やClavien-Dindo分類Grade III以上の重篤な術後合併症は認められなかった。著者らは、hinotoriを用いた大腸がん手術は安全かつ実施可能であることが示されたとしている。報告は京都大学医学部附属病院消化管外科の山本健人氏、板谷喜朗氏らによるもので、4月25日付の「Journal of the Anus, Rectum and Colon」に掲載された。
ロボット支援手術は近年、世界的に普及が進んでおり、大腸外科領域でも腹腔鏡手術と比べて良好な短期・長期成績を示す報告が蓄積されている。日本でもロボット支援直腸がん手術が2018年、結腸がん手術が2022年にそれぞれ保険収載されたが、これまでのエビデンスの多くは「da Vinci Surgical System(DVSS)」によるものだった。hinotori Surgical System(hinotori)は、川崎重工業とシスメックスの合弁会社メディカロイドが開発した日本初の国産手術支援ロボットで、名称は手塚治虫氏の『火の鳥』に由来する。同システムは2020年に泌尿器科領域で臨床導入され、その後は消化器外科や婦人科領域にも導入が広がっている。こうした背景から著者らは、hinotoriを用いたロボット支援大腸手術の臨床成績を検証した。
【大腸がんの治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします著者らは、2023年8月~2025年11月に京都大学医学部附属病院でhinotoriを用いたロボット支援大腸手術を受けた連続症例を対象に、単施設後ろ向き観察研究を実施した。術者はいずれも、日本内視鏡外科学会技術認定医で、既存のロボット支援手術システム(DVSS)による大腸手術を40例超経験していた。解析は、患者背景、手術関連因子、短期成績について、結腸がん群と直腸がん群に分けて実施した。
解析対象は94例で、このうち結腸がんが53例、直腸がんが41例だった。結腸がん群の手術時間中央値は255分だった。術後合併症はClavien-Dindo分類Grade IIのイレウスを1例(1.9%)に認めたが、絶食で改善し、Grade III以上の重篤な合併症は認められなかった。
一方、直腸がん群の手術時間中央値は327分だった。41例のうち、側方リンパ節郭清や他臓器合併切除、再発病変切除を伴う高難度手術(beyond-TME)を7例に実施した。術後合併症はGrade IIの排尿障害を1例(2.4%)に認め、経口抗菌薬で改善したが、Grade III以上の重篤な合併症は認められなかった。
いずれの群でも開腹移行例や術後30日以内の再手術例はなく、術後在院日数中央値は結腸がん群で10日、直腸がん群で12日だった。
著者らは、大腸外科領域におけるロボット支援手術の有効性は既に示されている一方、hinotoriに関する臨床データは限られていると指摘した。その上で、本研究では開腹移行例やGrade III以上の重篤な合併症を認めず、既報と概ね同等の短期成績が得られたとして、hinotoriを用いた大腸手術の安全性と実施可能性が示されたと考察した。一方、手術時間は既報よりやや長かったが、高難度症例を含んでいたことや、hinotoriを初めて使用する術者が多かったことが影響した可能性があるとしている。
また、現在はDVSSが手術支援ロボット市場で大きなシェアを占めているものの、hinotoriのような新規プラットフォームの登場は健全な競争につながるとの見方を示した。
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6月 01 2026 不眠症と心房細動の関連、全国178万人データで検証
不眠症は多くの人が経験する身近な症状であり、生活の質の低下に加え、さまざまな健康リスクとの関連も指摘されている。今回、日本の全国規模データを用いた解析から、不眠症は心房細動の発症リスク上昇と有意に関連することが示され、特に若年層や女性でその傾向が強いことが明らかになった。睡眠の状態が心臓のリズム異常と関連する可能性を示した研究として注目される。研究は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学分野の増田拓郎氏、江尻健太郎氏、東京大学医学部附属病院循環器内科先進循環器病学講座の金子英弘氏らによるもので、詳細は4月20日付の「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に掲載された。
不眠症は臨床現場で頻繁にみられる疾患の一つで、死亡リスクの増加や幅広い慢性疾患との関連が指摘されている。一方、心房細動は高齢者に多くみられる代表的な不整脈で、脳梗塞や心不全などのリスクにもつながる重要な疾患だ。不眠症と心血管疾患との関連を検討した研究は多いものの、心房細動との関連を検討した研究は比較的少なく、一般集団における影響は十分に明らかになっていない。そこで著者らは、日本の全国規模のリアルワールドデータを用いて、不眠症とその後の心房細動発症との関連を検証した。
【不眠症の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします解析対象は、2014年4月~2023年8月にDeSCデータベースへ登録された、心房細動を含む心血管疾患の既往がない約178万人で、不眠症と診断されていた人とそうでない人に分けて、その後の新規心房細動の発症リスクを比較した。DeSCデータベースには、診療報酬請求情報に加え、健診データや処方情報などが含まれる。主要評価項目は心房細動の新規発症とし、不眠症の有無による発症リスクをCox比例ハザードモデルで比較した。解析では、年齢や性別に加え、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、飲酒、身体活動などの影響も調整した。
対象者178万764人のうち、21万6,919人(12.2%)に不眠症が認められた。追跡期間中央値3.7年の間に、2万5,779人(1.4%)が新たに心房細動を発症した。不眠症のある人では、ない人に比べて心房細動発症率が高く(10,000人年当たり57.8 vs 35.4)、各種因子を調整した解析でも、心房細動の発症リスクは有意に高かった。調整後ハザード比は1.14(95%信頼区間1.10~1.18)で、リスクは14%上昇していた。サブグループ解析でも全体と同様の傾向がみられたが、65歳未満および女性では、不眠症と心房細動発症との関連がより強い傾向が示された(P for interaction=0.01、0.03)。
著者らは、本研究により、不眠症を単なる睡眠の悩みにとどまらず、心房細動のリスク因子として捉える重要性が示されたと述べている。その上で、心房細動予防の観点から睡眠管理にも目を向ける必要があり、さらなる研究が求められるとしている。また、不眠症に伴う自律神経の乱れや炎症、ホルモンバランスの変化が、心房細動発症に関与する可能性も指摘している。
本研究の限界点として、日本人中心の保険・健診データを用いた観察研究であり、診断がICD-10コードに依存している点や残余交絡の可能性などが挙げられる。
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心不全のセルフチェックに関連する基本情報。最善は医師による診断・診察を受けることが何より大切ですが、不整脈、狭心症、初期症状の簡単なチェックリスト・シートによる方法を解説しています。
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